認知症になる前から、母には高血圧・高血糖の持病があり、月に一度近所の内科に通っていました。
ところが、ある一言をきっかけに「もう病院には行かんでいい」と言い出してしまって──。
その後、認知症の受診や服薬管理にもいろんな“ひと工夫”が必要に。
今回は、母の通院拒否とその対策、薬の管理の試行錯誤についてお話しします。
通院をやめてしまった母:「先生」のひと言が効いた日
在宅介護が始まる前、まだ認知症の診断もなかった頃の話です。
母は高血糖と高血圧のため、近所の内科に月に一度通っていました。
この頃はまだ物忘れの自覚もなく、通院もひとりで問題なくできていました。
ところがある日、近所の人からこう言われたそうです。
「私も高血圧だったけど、もう病院行ってないよ。薬飲まなくても元気だし。」
この言葉をきっかけに、母はこう言い出しました。
「私もそんな大したことないし、体も元気やし、もう病院行かんでもよさそうやね。」
そしてその日から、通院をやめてしまったのです。
私の言葉は届かない
「薬は勝手にやめたらダメよ」
「病院にはちゃんと行ったほうがいいよ」
何度伝えても、母は「大丈夫」「これ以上よくも悪くもならん」の一点張り。
数ヶ月、病院に行かない日々が続きました。
同僚のひと言で、事態が動いた
この状況を職場で何気なく話したとき、同僚にこう言われました。
「それは心配やね。その病院に電話して先生に相談してみたら?」
その発想は私にはありませんでした。
すぐに内科に電話をして、先生に事情を説明すると・・・
「それは困ったね。じゃあ私からお母さんに直接電話してみようか?」
私は、すぐにお願いしました。
先生の電話に、母がしょんぼり…
その日の夕方、母が言いました。
「今日ね、内科の先生から電話があって……。病院に来たほうがいいって言われた」
少ししょんぼりとした母に、「じゃあ今度の土曜日、一緒に行こうか?」と声をかけると、
素直にうなずいてくれました。
私が何度言っても届かなかったのに……
先生のひと言で、あっさり納得!?と、ちょっと拍子抜けでした(笑)
先生のやさしい説得と安心感
久しぶりの通院時、先生は母にこう説明してくださいました。
「薬を自己判断でやめると、血圧がまた高くなってしまいます」
「他の人が病院に行かなくて済んでいるからといって、〇〇さんにも当てはまるとは限らないですよ」
とても優しく、でもしっかりと話してくださったので、母も素直に聞いてくれました。
やっぱり、「先生の言葉」には魔法がある。
特に母のような世代の人には、「先生」の言葉に不思議な説得力があるように思います。
“相談すること”の大切さ
この経験から私は学びました。
困ったら、誰かに相談してみること。
たったそれだけで、状況が大きく変わることがあるんだと。
月1の受診を減らすために…私がやった“裏ワザ”
その後、頭を打ったことがきっかけで「脳神経外科」を受診し、認知症の診断もあって月1回通うことに。
最初は拒否もなく行ってくれていたのですが、
病院まで車で20分かかり、しかも待ち時間が長く……だんだんと渋るように。
実は、病院の先生に相談したわけではなく、
これは私の独断でやったことなのですが…。
母がどうしても受診を嫌がるときは、
「今日は体調が悪くて来られません」と理由をつけて、
私ひとりで病院に行き、処方箋だけをもらってくるようにしました。
これで、母の通院は2ヶ月に1度で済むように。
毎回「行こう行こう」と説得してイライラするより、
この方が精神的にもずっとラクだったんです。
でも…先生から思わぬ忠告が
そのやり方を何度か続けていたある日、先生からこう言われました。
「本来はご本人を診たうえで薬を処方するのが原則です」
「何度も代理受診が続くと、介護認定などの判断材料がなくなってしまい、
今後の申請に影響する場合もありますよ」
……と忠告を受けました(泣)
このやり方は、おすすめできません
当時の私は「仕方ない」「今はこれで乗り切るしかない」と思っていたけれど、
先生の言葉を聞いて、「そりゃごもっとも」と反省。
毎回こんなことしてても、母のためにはならないな・・・。
そう思って、違う方法を考えることにしました。
ご機嫌タイムを狙え!「デイサービス帰宅直後が勝負」
そこで編み出したのが、「デイの帰宅直後作戦」!
デイから帰ってきた直後のごきげんタイムに、そのまま病院へ直行!
靴を脱ぐ前に車へ誘導してしまうのがコツです(笑)
母も「なんか連れていかれたな〜」と思いつつ、素直についてきてくれました。
「飲んだ?飲んでない?」混乱の薬タイムとの闘い
最初は、母が自分で薬を管理していました。
曜日別のケースに仕分けしていたのですが……
- 同じ薬を2回飲んでしまう
- 飲んだことを忘れて、また飲もうとする
- 違う曜日の薬を飲む
そんなことが起こるようになり、私が管理することに。
毎月の薬を薬カレンダーに【朝・夜】で1ヶ月分仕分け。
種類やタイミングもさまざまで、まさに内職気分。
母がデイに行っている間、黙々と分けるのが月一の作業になりました。
血糖値の爆上がりで「要・厳格管理」モードへ!
ある日、先生から電話がありました。
「血糖値がかなり上がっていて、このままでは入院の可能性もあります」
糖尿病外来を紹介され、新たな薬(朝食後に必ず服用)が追加されました。
ここからは、服薬のタイミングが命!
朝食の横に薬を置くと、まだ食べてないのに飲もうとする。
逆に、食べたあと忘れて捨ててしまうことも。
だから私は、必ず「食後に直接手渡し」するように。
会社に行く前に、飲むところまで見届ける毎朝。
小さなことだけど、これが精神的にけっこうきつかったです。
まとめ:一人で悩んでも答えが出ないときは…
母との介護の日々で痛感したのは、
「家族だからこそ、届かない言葉がある」
でもそんな時こそ、「外の人の力を借りる」ことで
ふわっと状況が動くことがあります。
誰かに相談する。少しだけ巻き込んでみる。
それだけで、自分では思いつかなかった答えや変化が生まれることもある。
ひとりで抱え込まず、「ちょっと話してみる」
それが、大きな安心につながるかもしれません。
おまけ:知っておきたい制度「リフィル処方箋」
これは余談ですが・・・
母が施設に入所したあと、「リフィル処方箋」という制度の存在を知りました。
リフィル処方箋とは?
「リフィル処方箋」は、症状が安定している患者で一定の要件を満たした場合に、医師が定めた期間内に最大3回まで繰り返し使用可能な処方箋で、令和4年度(2022年度)に導入されました。通常の処方箋では、医師が決めた日数分の薬を1回だけ受け取れますが、リフィル処方箋では、診察を1回受けて1通の処方箋を発行してもらうだけで、一定の間隔で最大3回まで繰り返し薬を受け取ることができます。(出典:政府広報オンライン)
私自身も高コレステロールの薬を処方してもらう際に、
「リフィル処方箋でお願いします」と伝えたところ、
3回分の処方箋をいただけるようになり、月1の通院が不要になりました。
病院や症状によっては対応できないこともありますが、
こういう制度があることを知っておくだけで、選択肢が広がる気がしています。
小さな工夫と、ささやかな情報が助けになる
介護中は、ほんの少しの“時短”や“省エネ”が、大きな助けになりますよね。
「制度を知っているかどうか」で、負担の感じ方も変わることがあります。
気になった方は、かかりつけの病院や薬局で相談してみてくださいね。💊


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