昨日、母の施設からの電話で聞かされた「精神安定剤を処方する」という知らせ。
夕方に強まる帰宅願望と幻聴に戸惑いながらも、薬で少しでも穏やかに過ごせるなら――。
介護を続ける中で感じた切なさと、迷いながら選んだ判断について書きます。
📞 突然の着信にざわつく心
昨日の夕方、母の施設から着信がありました。
毎回電話があると、胸がざわつきます。
「今度は体の具合が悪いのだろうか?」
「また脱出しようとしたのでは?」
そんな不安が一気に押し寄せてきます。
✏️ ほっとした最初の連絡
職員さんは「今日は2つ連絡があり、お電話しました」と言いました。
思わず(2つもあるの……)と心の声が漏れます。
最初はちょっとした日常の話題でした。
「最近お母様が塗り絵をよくされていて、今後色鉛筆がなくなった時はこちらで補充します。
1本50円で後日精算する形になりますがよろしいでしょうか。」
ああ、そんなことか……とほっとして、「はい、お願いします」と答えました。
🌆 夕方になると出てくる「帰宅願望」
次の連絡は声のトーンが少し低くなり、私は身構えました。(嫌な予感的中でした…)
「お母様が夕方になると帰宅願望で落ち着かないことが多く、訪問診療の先生に相談したところ、気分が落ち着く薬(精神安定剤)を勧められました。
夕食後に飲み始めて2週間になります。
最近は落ち着かれて、夜は早く眠れ、昼間は笑顔で過ごされています。
副作用も見られません。」
私は思わず確認しました。
「それは以前お話のあった精神安定剤ではないですよね?」
「はい、その薬です。」
心の中で(ガーン……)という衝撃が走りました。
💊 薬への不安と少しの安心
「副作用はありませんか?」と尋ねると、職員さんは丁寧に説明してくれました。
軽い薬を少量だけで、昼間にぼーっとすることもウトウトすることもなく、むしろ活発に過ごせている。
幻聴やそわそわした行動も減り、夜もよく眠れている。
その説明に少し安心し、
「それでしたらお願いします。変化があればまたご連絡ください」と答えました。
🌙 思い出した母の姿
電話を切ったあと、以前かかってきた電話で職員さんと話したことを思い出しました。
そのときも帰宅願望はあったけれど、職員さんが工夫して気をそらしてくれていたのです。
しかし最近は、皮膚科通院の車内で独り言を言い続ける母の姿もありました。
まるで“宇宙と交信している”ようで、認知症の進行を感じざるを得ませんでした。
💭 悲しさと受け入れ
「精神安定剤」と聞くと、私にはどうしても精神科で出される強い薬というイメージがありました。
副作用で日中にウトウトしたりぼーっとしたりするのではないか、薬が増えてしまうのではないかと、つい悪い想像をしてしまいます。
仕方のないことと頭では分かっていても、薬を使うことになった現実は切なく、悲しいものでした。
それでも、副作用もなく、昼間を元気に過ごせるなら……。
「母が少しでも穏やかに過ごせるのなら、それでいい。」
今はそう思うようにしています。
🌱 まとめ
認知症の進行にともなう「帰宅願望」や「幻覚・幻聴」は、多くの方が直面する課題だと思います。
薬に頼ることは悪いことではなく、介護者にとっても本人にとっても安心につながる場合があります。
私自身、迷いながらも「母の穏やかな時間を増やすため」と受け入れることにしました。
同じように悩んでいる方に、少しでも参考や共感になれば嬉しいです。
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以前、母に帰宅願望が強く出て施設から脱走してしまったことがありました。
そのとき初めて精神安定剤の話も出たのですが、その日の体験についてはこちらに書いています。
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