認知症介護がつらかった私を救ってくれた言葉:長谷川嘉哉先生の講演会に行ってきました

認知症介護がつらかった私を救ってくれた講演会のイラスト ヒント
記事内に広告が含まれています。

在宅介護をしていた頃、
「もう限界かもしれない」と感じる日が何度もありました。

物盗られ妄想で責められ、
怒ってしまう自分を責め、
それでも毎日は続いていく・・・。

そんな苦しい時期に、
私の心を支えてくれたのが
長谷川嘉哉先生のYouTube動画でした。

「介護者ファースト」
「怒ってもいいんだよ」
「施設入所は決して親不孝ではない」

その言葉に何度も救われ、
在宅介護を終えた今も、先生の言葉を聞き続けています。

この記事では、
長谷川先生の講演会に実際に足を運び、
感じたこと、救われた思い、
そしてその後に起きた出来事について綴ります。

1. 在宅介護がつらかった私を支えてくれた言葉

在宅介護中、辛く苦しい時期を乗り越えられたのは、
長谷川嘉哉先生のYouTube動画で
「介護者ファースト」と言ってくださったことがきっかけでした。

物盗られ妄想で犯人扱いされたときも、
「怒ってもいいんだよ。少し怒ったくらいで、認知症が進行することはないのだから」
そう言ってもらえたことで、どれほど心が救われたかわかりません。

それからは、動画がアップされるたびに欠かさず視聴するようになりました。

在宅介護の限界を迎え、施設入所を迷っていたときも、
「施設入所は決して親不孝ではない」
この言葉に背中を押され、入所を決意しました。
現在、母はグループホームでお世話になっています。

2. 在宅介護を終えた今も、先生の言葉を聞き続けている理由

在宅介護を終えた今も、長谷川先生の動画は欠かさず視聴しています。
それは、同じように苦しんでいる方に向けた先生の言葉を聞くたびに、
「これでよかったのだ」と、自分の選択を確認できるからです。

また、認知症の薬のことや、現在の医療現場の状況なども知ることができ、
とても勉強になります。
新薬の話や、認知症にならないために大切なこと、
認知症になりやすい人の傾向など、役立つ情報がたくさんあります。

3. どうしても行きたくなった、12月7日の講演会

そんな中、ある日の動画で
12月7日に岐阜県土岐市で講演会があるという告知がありました。

私の住んでいる地域からは、新幹線で約3時間半。
「ああ、行きたいけれど無理かな……」と一度は諦めました。
でも、始発の新幹線ならギリギリ間に合うかもしれない・・・
そう思った瞬間、すぐに申し込みのメールを送りました。

数日後、申込み受付完了のメールが届きました。

「どうしよう、本当に行けるかな?」
まだ8月だし、行けなくなったらキャンセルすればいい。
そう思いながらも、気持ちはすでに講演会へ向いていました。

4. 不安と一緒に向かった、始発の新幹線

そして、あっという間に12月。
講演会の数日前に風邪をひき、「やっぱり無理かも」と思いましたが、
前日に回復し、
「これは行くしかない」と覚悟を決めて、始発の新幹線に乗りました。

講演会に行ける喜びと、
本当に一人で行けるのかという不安が、半分ずつ。

新幹線を降りたあと、在来線への乗り換え時間はわずか10分。
迷わず乗れるだろうかと不安でしたが、
なんとか予定より一本早い電車に乗ることができ、
10時15分に会場へ到着しました。

(講演会は10時からでしたが、私は10時半開始だと思い込んでいて、
会場に入るとすでに講演が始まっていました)

講演会は、
10時〜11時が長谷川先生の講演、
11時〜が先生と 矢部太郎さんとの対談という予定でしたが、
当日は12時まで延長されたそうです。

5. 講演会で心に残った、忘れられない言葉

長谷川先生の講演は、
認知症の初期・中期・末期を
春・夏・秋・冬にたとえてお話しされ、
先生特有のジョークも交えながら、
会場には笑い声が絶えませんでした。

その中で特に印象に残ったのが、
「認知症は“お金を盗ったという病気”だと思ってください」
という言葉です。

認知症が中期になると、被害妄想や物盗られ妄想が現れ、
「お金盗ったやろ?」と言われるようになります。
先生は、患者さんが最初に受診されたとき、
必ず介護者にそのことを伝えるそうです。

事前に知っているのと、知らずに言われるのとでは、
受け止め方がまったく違う。
怒らず、悲観せずに済む
心の構えが変わるのだと話されていました。

講演前には
「携帯電話の電源をお切りください」という注意がありましたが、
先生は冒頭で
「携帯電話、鳴りますよ」とおっしゃいました。

その言葉どおり、講演中に何度も携帯電話が鳴り、
会場からは笑い声が起こりました。

先生はこう続けました。

「携帯が鳴ると知っていれば、怒らずに笑えますよね。
認知症も同じで、
『お金盗ったやろ』と言われると知っていれば、
怒らず、笑い話にできるんです。
知っているかどうかで、こんなにも違うんです。」

その言葉を聞きながら、
先生はいつも患者さんと同じくらい、
介護者のことを考えてくださっているのだと、
改めて感じました。

また、
「認知症介護は、まあ、なんとかなるもんです」
と穏やかに言われた言葉も、とても温かく感じました。

6. 認知症は、一人だけで抱え込むものではない

講演の最後に、
先生はこれからの取り組みについても話されていました。

これからは、小学生にも認知症のことを伝え、
理解を広げていきたい。

「おじいちゃん、おばあちゃんに
『病院に行ったほうがいいよ』
『そろそろ免許を返したほうがいいんじゃない?』
と、孫から声をかけてもらえる社会になってほしい」

その言葉を聞いて、
認知症は本人や家族だけが抱え込むものではなく、
社会全体で支えていくものなのだと、
改めて感じました。

7. 「ボケ日和」が生まれた背景を知って

後半は、
長谷川嘉哉先生と
矢部太郎さんとの対談が行われました。

対談では、先生の著書
『ボケ日和 ─ わが家に認知症がやって来た!どうする?どうなる?』 の
表紙や挿絵のイラストを、矢部さんが依頼された経緯からお話が始まりました。
(この記事では、以降「ボケ日和」と書かせてください。)

その後、
「ボケ日和」を漫画にしてほしいという依頼を受けたときの思い、
どのように描こうと考えたのか、
実際に制作する中で感じたことや苦労されたことなどを、
とても率直に語っておられました。

矢部さんは、漫画を描くにあたって、
長谷川先生のクリニックを訪れ、診察の様子を見学されたり、
先生が運営されているグループホームを見学したり、
ケアマネージャーさんの話を直接聞かれたそうです。

そうした現場での体験をもとに、
実際に「ボケ日和」の漫画を描かれたこと、
そのときに感じた戸惑いや迷い、
それでも丁寧に向き合おうとされた姿勢が伝わってきました。

また、矢部さんのお母さまは、
ケアマネージャーとして働かれていたそうです。

「ボケ日和」のイラストや漫画の依頼を受けた際、
矢部さんはお母さまに相談されたそうで、
そのとき
「受けたほうがいいと思うよ」
と背中を押してもらったことが、
この仕事を引き受けるきっかけになったと話されていました。

介護の現場を知る身近な存在の言葉だったからこそ、
迷いながらも、このテーマに向き合おうと決められたのだと思います。

矢部さんは、お笑い芸人として活動されたあと、
漫画家としても活躍され、現在は俳優業もされるなど、
とても多忙な日々を送られている方です。

それでも対談中の姿はとても物腰が低く、
長谷川先生との掛け合いは終始あたたかく、
会場には何度も笑いが起きていました。

重たいテーマであるはずの認知症や介護の話が、
どこかやさしく、少し肩の力を抜いて聞ける、
そんな時間だったように感じました。

8. 行って本当によかった、そして伝えたかった感謝の気持ち

今回の講演会は、
現地まで約4時間、講演時間は約2時間でした。
正直、移動時間だけを考えると長い一日でしたが、
それでも行って本当によかったと、心から思いました。

講演会のあとにはサイン会もありました。
実際にお会いして、直接お礼を伝えたいと思っていたのですが、
私が会場を出たときにはすでに長蛇の列ができていて、
今回は諦めて帰ることにしました。

けれど、どうしても感謝の気持ちを伝えたくて・・・
思い切って、長谷川嘉哉先生に手紙を書くことにしました。

それから約2週間後。
いつものように先生のYouTube動画を見ていると、
「お手紙コーナー」と題して、
私の手紙を紹介してくださったのです。

何が起きているのかすぐには理解できず、
しばらく画面を前にして、ただ固まっていました。
でも少し時間が経ってから、
じんわりと、胸の奥から込み上げてくるものがありました。

私が伝えたかった気持ちを、先生はしっかりと受け止めてくださり、
動画の中で
「まさかとは思いましたが本当に遠いところから来ていただいたんだなぁと、
有り難いと思っております。」
と、お礼の言葉までかけてくださいました。

さらに、私のブログも紹介してくださり、
「口先だけでなく、本当に経験した人たちの言葉というのは
本当に困っている人たちには刺さるものであり参考になると思います。」
とおっしゃってくださいました。

その言葉を聞いたとき、
胸がいっぱいになり、
言葉にならない思いがあふれてきました。

やっぱり、素敵な先生でした。

※ 長谷川先生が、講演会後に私の手紙を紹介してくださったYouTube動画はこちらです。
実際に先生の言葉で触れていただいた場面を見ていただけたらと思います。

コメント

  1. maru より:

    えくぼさん、あけましておめでとうございます。
    今年もよろしくお願い致します。

    長谷川先生の講演会のお話しは、えくぼさんの熱い思いが
    とても伝わり、無事に参加できて良かったと
    私までドキドキしながら読ませていただきました。

    そして、やっぱり長谷川先生は流石だと
    また思わせていただきました✨

    会場で携帯がなることも予測し
    知ってるのと、知らないのとでは違うというお話や、

    子供達にも認知症を知ってもらうという考え方など
    とても素晴らしいと思いました。

    えくぼさんのおかげで
    講演会の様子も知ることができ
    とても嬉しいです。

    北海道でも講演会があったら
    是非、行ってみたいと思いながら読ませていただきました。

    そして長谷川先生にえくぼさんの思いが伝わったことも
    自分のことのようにとても嬉しく思っております✨☺️

    • えくぼ えくぼ より:

      maruさん、あけましておめでとうございます。
      こちらこそ、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

      とても丁寧に読んでくださり、
      そして温かい言葉をたくさんありがとうございます。
      ドキドキしながら読んでくださったと知り、
      私のほうこそ胸がいっぱいになりました。

      長谷川先生のお話は、本当に一つひとつが深く、
      「知っているかどうかで、こんなにも見え方が変わるんだ」と
      改めて感じる時間でした。

      講演会の様子を、maruさんにも共有できたことがとても嬉しいです。
      北海道で講演があったら…というお言葉にも、
      思わずうなずいてしまいました。

      そして、私の想いが先生に届いたことを
      自分のことのように喜んでくださって…
      そのお気持ちが本当にありがたく、励みになります。

      これからも、自分の経験を通して感じたことを、
      少しずつでも言葉にしていけたらと思っています。
      また読んでいただけたら嬉しいです☺️

タイトルとURLをコピーしました