🌀 借金を返しに行く母!?──被害妄想との向き合い方と私の心がけ

ヒント
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被害妄想──それは認知症介護の中でも、特に心をざわつかせる試練のひとつ。
毎日のように繰り返される「悪口を言われた」「お金を返しに行かなきゃ」「財布がない!あんたが盗ったんやろ!」の数々…。
この記事では、母がまだ在宅介護だった頃に体験した“ご近所トラブル系妄想”との攻防戦と、その中で見つけたちょっとした工夫や心の整え方を、3つのエピソードとして綴っています。

同じように悩んでいるあなたへ、クスッと笑えてホッとできる時間になりますように。

💬 エピソード①:近所の人に悪口を言われた?──母の“思い込み”とどう向き合ったか

ある日、母が真剣な顔で言いました。

「○○さんが私のこと、町内会長さんに告げ口したみたい。
この前、町内会長さんがうちに来て、『○○さんの家を覗いてるらしいね』って言ってきたよ。○○さんが困ってたって、そんなことしてないのに・・・」

私はびっくりして、「え、そんなこと言うかな…?」と戸惑いながらも、
母の様子はとても真剣で、本当にあったことのように語るんです。

こういうとき、否定しても逆効果
でも肯定してしまうと、「じゃあ○○さんに文句言いに行こう!」となってしまう可能性も…。

そのときの私は、ただ静かに頷くしかできませんでした。


次の日も、その次の日も、同じ話を繰り返す母。
これはエンドレスになりそう…
と思った私は、ある行動に出ました。


👣「じゃあ、一緒に確認しに行こうか?」

「町内会長さんに、私が直接聞いてみるね。一緒に行こうか」

そう声をかけ、母を連れて町内会長さんの家を訪ねることに。

事前に自宅2階から町内会長さんに電話をして事情を説明すると、
「そんなこと言ってないけどね」と少し驚きつつも、事情を理解してくださり、快く対応を引き受けてくれました。

夕方、母と一緒に訪問。
玄関先で町内会長さんが母にこう話してくれました。

「そんなこと、私は言ってないよ。○○さんも困っていないから心配いりませんよ。」

母は少し腑に落ちない表情でしたが、

「本人がそう言うなら……」

と、とりあえず納得して帰宅。


その後もときどき同じ話をしていましたが、文句を言いに行くこともなく、
やがてその話題は自然と出なくなりました。やれやれです💧


この対応が正解だったかは、正直今でもわかりません。
でも、町内会長さんは地域の方とのつながりも深く、事情を知っていただくには最適な方だったと思います。

本当は、母が認知症であることを周囲に知られることに、私は少し抵抗がありました。
でも、こうして被害妄想が出てくるようになると、周囲の理解こそが支えになると実感しました。


💸 エピソード②:借金を返しに行く母──借りた覚え、ありますか?

母は晴れた日には「ちょっと散歩してくるね」と言って外へ出かけていました。
近所で顔見知りの方に会えば立ち話、時にはそのままお茶をごちそうになることも。

ある日もなかなか帰ってこず、夕方になって近所の知人と一緒に帰宅。
その方は、母が昔から親しくしていた方で、「今日はうちでお茶を飲んできたの。暗くなってきたから送ってきたよ」と。

ありがたいやら、申し訳ないやら。

母は上機嫌で「また来てねって言われたよ〜」と楽しそうでしたが……家に入ると

「あ、そうそう。〇〇さんから昔お金借りてたから、明日返しに行ってくるよ。」

えっ…?借りた?いつ?なぜ…?

母いわく「昔一緒に仕事したときに借りた」と言うのですが、その方と一緒に仕事をした記憶なんてありません。

とはいえ、「借りた」という話なので、「返してない」が母の中での“事実”として成立しているようでした。

本当に行くか分からないし…まぁ様子を見よう。

そう思っていたら──


数日後──
本当に1万円を持って、その方の家へ返しに行ってしまったんです。

その方がまた母を送ってくださり、母が言いました。

「お金は貸してないから、受け取れないって言われた」

とのこと。
私は「やっぱり勘違いよ」と伝えましたが、母はどこか納得がいかない様子…。


数日後、スーパーでその方と偶然再会し、お詫びをしたところ、
こんなふうに言ってくださいました。

「いいのよ、でももしまた返しに来られたら困るから……
一度受け取って、あなたに返すって形にしてもいいし、
『娘さんからもう返してもらってる』って言っておいた方がいいかしら?」

「そう言っていただけると助かります」とお願いしました。

それ以来、母が返しに行くことはなくなり、私は心からホッとしたのでした。


それにしても、「貸した」じゃなくて「借りた」だったのが、
せめてもの救いだったかもしれません(笑)

被害妄想は本当に予測不能。
他人を巻き込むケースは、心臓に悪いです。

この経験をきっかけに、母が仲良くしているご近所の方に会ったときは、

「母は認知症で、もしご迷惑をおかけしたら私に知らせてくださいね」

と一言添えるようにしました。
それだけで、心の安心感がまるで違うと感じました。


👜 エピソード③:財布泥棒は私です──毎回、私が犯人扱い!?

母はよく財布をいろんなところに隠しては、忘れてしまいます。

ベッドの下、枕の下、仏壇の引き出し、押し入れ──。まるで宝探しです。
そして、財布が見つからなかったときは、犯人はいつも私。

「あんたが盗ったんやろ!」
「あんたが隠したんやろ!」

いや、私じゃないし!!(笑)


そんな日々が続くので、私は母がいないときに“財布パトロール”。

定位置の引き出しにあるかを確認して、なければすぐ探して、
見つけたら元の場所へリターン。

これができると、母が探すことも少なくなり、
結果として「犯人にされる」確率が減ります。ラッキー!


でも、毎回うまくいくわけじゃありません。

心に余裕がある日は一緒に探し、
見つけたら笑顔で「ここにあったよ〜」と声をかけます。

余裕がない日は、もう無理せずバトル開始!

「私が盗るわけないでしょーが!」
「いっつも人のせいにして!」

言いたいことは言っておきます。
だって、どうせすぐ忘れるし、言わなきゃ損!(笑)


そのあとは加熱しすぎないように、
夜のウォーキングで気分転換。
👉 その頃の私の“逃げ場”だったウォーキングについてはこちらでも書いています。
▶ 詳しくはこちらの記事

「また明日は、もう少しやさしくなれますように」

と、心の中でつぶやきながら、星空を見上げています。


🧠 被害妄想は、母の不安のあらわれ──でも、私もつらい

財布を何度も確認し、なくなったら私のせいにする。
お金を盗られるのが怖くて、あちこちに隠す。

母も母なりに、不安でいっぱいだったのだと思います。

でも、私だってつらい。
泥棒呼ばわりされて、何度言ってもわかってもらえないし、何度も疑われる。
そのたびに「またか……」と心がすり減っていきます。
👉 そんな日々に「もうついていけない…(笑)」と感じていた頃のことを、こちらに書いています。
▶ 詳しくはこちらの記事


「病気が言ってることだから」そう思おうとしても、無理なときは、無理です。
無理なときは、無理して我慢しないでいいと思います。

我慢できる日は我慢する。
でも、できない日は言いたいことを言って、
その分ちゃんと自分の気持ちを整える。
それでいいんじゃないかと思っています。

以前、認知症の専門医の先生がこう言っていました。

「犯人にされるのは、一番介護してる人。それは“介護の勲章”のようなものですよ」

って言ってたけど……

……すみません、私はまだそんなふうには思えません(笑)

でも、母の不安を少しでも減らせるように、
そして私自身の心が壊れないように、
私は“ちょうどいい距離感”で母と向き合っていこうと思っています。


💌 最後に──また今日も犯人にされたあなたへ(笑)

毎回、無実なのに疑われて。
心の中で「何回目よ…」ってつぶやいて。
それでもちゃんと向き合ってるあなた、本当にえらいです。

怒っちゃう日があっても大丈夫。
泣きたい日も、逃げたい日も、あっていい。

ここに来て「私だけじゃないんだ」と、
少しでもホッとしてもらえたら嬉しいです。

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