認知症の初期症状は、ついつい見逃してしまうような小さなサインから始まることがあります。
料理の味付けの変化や財布の管理ができなくなること、同じ話を繰り返すこと…。
私の母にも、今振り返ると“あれが最初のサインだった”と思う出来事がいくつもありました。
この記事では、母に現れた認知症初期のサインを体験談を交えてご紹介します。
🍳 料理の変化
母は私が会社に行っている日は夕食を作ってくれていました。けれどある時期から、
- 味付けが極端に塩辛い
- ハンバーグが生焼け
- 鍋を火にかけたまま忘れて焦げ付かせる
そんなことが増えました。
「年齢のせいかな」と笑って誤魔化していましたが、今思えば認知症初期のサインでした。
💰 財布とお金の扱い
食費は共用の財布で管理していましたが、母が補充を忘れることがありました。
私が「お金が入っていないよ」と言うと、母は不機嫌になり
「私だってお金が入り用だから出せない」と強い口調で言うことも。
また、近所のスーパーがセルフレジに変わってからは支払いができず、買い物自体に行かなくなりました。
🔁 会話のループ
同じ話を繰り返すことも増えました。
私が「その話、昨日も聞いたし、もう5回以上だよ」と言うと、
母は平然と「あらそう?初めて話すよ」と返してきます。
当時は「冗談言ってるのかな?」と思ってましたが、今振り返ると典型的なサインだったのだと思います。
😠 感情や性格の変化
母がリビングで掃除機をかけていたとき、子どもたちがふざけて邪魔をした瞬間、
母は掃除機を投げつけて「ばあちゃんばっかりいじめて!」と怒鳴り、和室に閉じこもったことがありました。
普段は穏やかで子どもたちに甘い母が、まるで別人のように急に怒りを爆発させた時は驚きました。
「おかしいな」と思ったのは、ある日ご近所に文句を言いに行ったことでした。
それは何年も前の出来事を、まるで最近のことのように勘違いしていたのです。
私はリモートワーク中で家にいたときで、母は知らない間に斜向かいのお宅へ出かけて行き、
そこで「法事の手伝いを無理やり頼まれた」と文句を言っていました。
母が帰宅後、斜向かいのおじさんが来て「今、お母さんが文句を言いに来られましたよ」と伝えてくれたときは信じられない気持ちと申し訳ない気持ちで、今でも忘れられません。
それから、斜向かいの家の悪口を外で近所の人と大声で言うようになり、聞かれているのでは・・・💦とハラハラすることもありました。
いつもは人当たりもよく、他人の悪口を言うようなことはなかったのですが、今思えば被害妄想の始まりだったのかもしれません。
🏥 私が見逃したこと、そして後悔
私はこのような母のいくつものサインを見逃していました。
心のどこかでは「ちょっと変だぞ…」と思いながらも、「母に限ってそんなことはない」と思いたかったのです。
実はこの出来事の半年ほど前に母が忘れっぽいことを気にして「もの忘れ外来」を受診したことがありました。
診断は「脳の萎縮はあるが、海馬の萎縮は小さく認知症とは言えない」というものでした。
そのため「まだ大丈夫なんだ、物忘れは年齢のせいなのかな・・・」と都合の良い解釈をしてしまい、セカンドオピニオンも受けずにいました。
👉 当時の受診から介護認定までの経緯は、物忘れ外来での受診から介護認定を受けるまでの体験談で詳しく紹介しています。
けれど、ご近所トラブルが起きたときにもう一度別の病院を受診していれば…と今でも後悔しています。
そして約半年後、母が洗濯物を干しているときに頭を打ち、脳神経外科を受診したことで、ようやく「アルツハイマー型認知症」と診断されました。
✅ 認知症初期のサインチェックリスト(体験談から気づいたこと)
私の体験から振り返って、認知症初期に見られるサインをまとめます。
- 料理や家事の段取りが難しくなる(味付けの変化・火加減を忘れる等)
- 財布やお金の管理ができなくなる、支払いができなくなる
- 同じ話を繰り返す、会話がループする
- 急に怒る・感情の起伏が激しくなる
- 昔のことを最近のことのように話す(時間感覚の混同)
- ご近所トラブルにつながる言動や被害的な発言をする
🌱 最後に
私は母の小さなサインを見逃してしまいました。
「まだ大丈夫」「母に限ってそんなはずはない」という思いが強かったのです。
けれど今振り返ると、早めにセカンドオピニオンを受けておけばよかったと後悔しています。
もしあなたのご家族に似たサインがあれば、一人で悩まずに「脳神経内科」や「もの忘れ外来」の受診を勧めてみてください。
そして診断の結果が「異常なし」だったとしても、ご家族が違和感を覚えるならセカンドオピニオンを受けることも大切だと思います。
早期発見につながれば、薬の処方などで進行を遅らせることも可能です。
この記事が、同じように悩む方の少しでもお役に立てば嬉しいです🍀
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