迷いと葛藤を繰り返し、ついに母の施設入所を決断した私。そこに至るまでの苦悩と、母に合う「本当に選んでよかった」場所を見つけるまでの道のりをお話しします。
徘徊と限界の中での決断
施設見学は済ませていたものの、入所のタイミングを見失っていました。
そんなとき、母に徘徊が始まったのです。
夜中に出かけた形跡があり、玄関には見知らぬ靴が──後でお隣の家のものとわかり、菓子折りを持って謝りに行きました。話を伺うと、今回が初めてではなく昼間もお隣の家に行き玄関のチャイムを鳴らしたり、勝手にドアから入ってきたこともあったそう・・・(驚)
幸いご近所の方は「お母さんの介護、大変ですね。お互い様ですから気にしないでください。」と言ってくださったのが救いでした。
でも心の中では「いつかは警察沙汰になるかも」とヒヤヒヤ…。
それからは、全ての窓にガードロックを付け、玄関にはドアチャイムを取り付けました。
そして夜は私と子どもたちで交代で見張り。まるで交代制勤務の夜勤状態・・・(笑)
さすがに長くは続かず「こりゃ限界だ」と思い、ようやく入所の決意を固めました。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入所
第一希望だったグループホームには空きがなく、サ高住と住宅型有料老人ホームを再度見学することに。
姉とは気まずい状態が続いていましたが、ケアマネさんの
「見学にはお姉様も同行をされたほうがいいです(キッパリ!)」との助言で姉に連絡すると、
「わかった、行く!」とあっさり返事がきて・・・
ほっとしたような、拍子抜けしたような気持ちでした。
私たちは一緒に施設を見学し、家から近く、すぐ入所可能だったサ高住を選びました。
入所当日はケアマネさんが同行してくれ、母の相手をしてもらう間にお部屋に荷物を運び終えることができました。
それから母の新たな生活が始まりました。
サ高住での母の一日は、平日はデイサービスで日中を過ごし、夕食後自室に戻る生活。
土日はデイが休みなので、一日中部屋で過ごすことになるため、姉と交代で面会に行きました。
この施設の良いところは、ホーム長さんが看護師で体調管理が行き届いていること。
また、入居者さんの日々の様子をほぼ毎日Instagramにアップしてくれるところです。
母が入所した翌日、母がロビーで他の入居者さんと談笑する様子を投稿してくれ、私たち家族の不安を和らげてくれました。
それから毎日Instagramの投稿をチェックして母が写っていないか探すのが日課となりました。👀
ただ、50人以上の入居者に対して職員が少なく、特に夜の見回りは一人の職員さんがすべて対応しているため、母の徘徊を防止するために部屋のドアを外から施錠される状況で、すごく心が痛みました。
グループホームからの連絡と決断の迷い
母がサ高住の生活に少しずつ慣れてきた頃、第一希望だったグループホームから連絡があり、空きが出たとの知らせを受けました。
正直なところ、「もう少し早く連絡が来ていれば…」という思いがありました。
ようやく今の施設に馴染み始めた母を、また新しい環境に移すことに対して、認知症の進行がさらに進んでしまうのではないかという不安もあり、すぐには返事できませんでした。
ですが、どうしても諦めきれず一週間だけ考える時間をもらい、もう一度気持ちを整理することにしました。
その翌日、以前お世話になっていたデイサービスにお礼の挨拶に伺いました。そこで責任者の方と話す中で、サ高住入所とグループホームの空きについて相談すると、責任者の方ははっきりとこう言ってくれました。
「絶対グループホームの方がいい。すぐにでも替わったほうがいいよ。」
少人数で目が行き届くことの重要性や、夜間の施錠が認知症の進行に与える影響など、丁寧に説明してくださり、その話を聞いて私の心は次第に固まっていきました。
そして、もう一つの大きな決め手となったのが、その日の夕方にかかってきたケアマネさんからの電話でした。今のケアマネさんが辞めることになり、休職中だった以前のケアマネさんが担当に戻るという知らせでした。
その電話を受けた瞬間、「これはもう変わるしかない!」と直感しました。
これまで親身になって悩みを聞いてくれていた今のケアマネさんが担当を外れることは、未練なくサ高住からグループホームに移るタイミングなのだと感じました。まるで何かに導かれているかのように・・・
こうして、グループホームへの移動を決断することができたのです。
憧れのグループホームへ
迷いながらも、思い切って母をグループホームに移すことができました。
今振り返ると、**「あの時、決断して本当によかったな」**と心から思います。
母の生活が落ち着き、笑顔が戻ってきたことで、私もようやく肩の力を抜けるようになりました。
そんな背中をそっと押してくれたのが、デイサービスの責任者の方です。
あの時お話できていなければ、私はきっと踏み出せなかったと思います。
そして、これまでお世話になっていたケアマネジャーさんの存在も大きかったです。
グループホームを勧められなかったことに少し違和感はありましたが、私が移る決断を伝えたときには、快く応じてくださり、母のケアプランや引き継ぎ書を丁寧にまとめて、新しいケアマネさんへしっかり引き継いでくれました。
母が安心して暮らせる場所にたどり着けたのは、こうした人たちの支えがあったからこそだと感じています。本当に有り難い(感謝!!)
グループホームとサ高住の違い
※以下の比較は、私の母が実際に入居したグループホームとサ高住での体験に基づくものです。
施設によって内容は異なることがありますので、あくまで参考としてご覧ください。
項目 | グループホーム | サービス付き高齢者向け住宅 |
---|---|---|
入居者数 | 9人(1ユニット) | 約50人 |
スタッフ配置(昼間) | 入居者3人に職員1人 | 入居者50人に対し数名のスタッフ |
認知症ケア | 認知症専門のケアがしっかりしていた | 専門ケアはほとんどなかった |
夜間対応(見回り) | 職員1人がユニット内に常駐 | 職員1人での2時間毎の見回り |
レクリエーション | 毎日体操やゲーム、歌など (土日もあり) | デイサービスに行った日だけ(土日は休み) |
入居対象者 | 施設がある市区町村に住民票があり医師による認知症の診断があること | 60歳以上であれば入居可能 |
費用(月額) | 11万〜12万円 | 13万〜14万円 |
私が選んでよかった理由
一番よかったのは、夜の見守りがしっかりしていて、母が安心して過ごせることです。
眠れない夜も職員さんが話し相手になってくれ、何よりドアを施錠なんてことはありません。
また、土日関係なく毎日の生活リズムが整っていることも、母にとって安心につながっていると感じます。
サ高住のイベントや行事も魅力的でしたが、どこか認知症の母には馴染めず、少し浮いていたように見えました。今のグループホームでの手厚い見守りと穏やかな日々は、母にとっても、そして私にとっても一番の安心です。
今回、施設入所を決断し、サ高住からグループホームへ移ることで安心を手に入れたお話をさせていただきましたが、そこにはやはり施設入所に対する罪悪感や心の葛藤もありました。
その気持ちについては、また別の記事でお伝えしたいと思います。
施設選びは本当に悩みますよね。私もたくさん迷いました。
でも、迷い失敗しながらも母に一番合った場所にたどり着くことができて、今は本当に良かったと思っています。
この体験が、同じように悩まれている方の小さなヒントや励ましになれば嬉しいです。
グループホームについては、こちらの動画が参考になりました。
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