母の認知症が進み、物盗られ妄想、デイサービス拒否、孤独な在宅介護の中で限界を感じた日々。
「このままではいけない」──そんな思いが、私を施設見学の一歩へと踏み出させました。
迷いと決意、そのリアルな記録をお話しします。
暗黒の時代と介護の限界
母がデイサービスを拒否し、いわゆる「暗黒の時代」に突入したとき、正直なところ私は「この暗いトンネルから抜け出したい」と思うようになりました。デイサービスに通わず、認知症が進んでいけば、いずれ私の手に負えなくなるだろう……。
暗黒の時代はしばらく続きましたが、ケアマネさんが替わったタイミングで、母がデイサービスに行くようになりました。それでも私の心の中には、「いずれは施設入所を」という気持ちが残っていました。
そしてその頃の私は、物盗られ妄想に悩まされる日々でした。母が「財布がない」と言って探し始めると、「また私が盗ったと言われるのでは……」とビクビクしていました。そんな出来事が頻繁に起こり、家にいるのが苦痛になり、夜のウォーキングに出かけたり、会社に行って同僚と話す時間が心の救いでした。でも、同僚に愚痴をこぼすことはできても、在宅介護の経験がある人は周りにおらず、「大変だね」「偉いね」と声をかけられるだけで、心の奥にある孤独感は癒やされませんでした。
施設入所を意識し始めた理由
「このままでは私の手には負えなくなる」
そんな不安が日増しに強くなっていました。
そんな中、月に一度の認知症外来で主治医に相談したとき、先生はこう言いました。
「この先、在宅介護を続けるのか、施設入所を考えるのか、ご家族でよく話し合った方がいい。施設を考えているなら、準備だけでも早めに進めてください。」
私はこの言葉で、ようやく「まずは施設の見学だけでも」と決意しました。
ケアマネさんに電話で正直な気持ちを伝えると、「今度パンフレットを持っていきますね」と言ってくれました。
姉への相談と衝突そして挫折
そうは言っても一人で見学に行くのは心細いし、姉にも施設入所を考えていることを伝えておかないと・・・と思いLINEで、母の状態を説明し施設入所の相談をしましたが、姉は猛反対。
「デイサービスに行くようになったばかりなのに施設に入れるのは早すぎるやろ!?」
「まずはデイサービスから始めないと!」
私は被害妄想でストレスが溜まっている上に姉にも理解してもらえず深く傷つき、同時に姉に対する怒りが込み上げてきました。「何だとーーー!(心の叫び)」
「今まで何も手伝ってこなかったくせに!反対する権利ある?そんなに施設入所を反対するなら私に替わって母の面倒みてよ!!」
とLINEで猛抗議しました。姉からは既読スルーされ何の返事も返ってこなかった。そして3日後・・・
「やっぱり施設入所考えんといかんね、あんたが潰れたらいかんもんね、ごめん。」
と姉からの返信。
それでも私は姉に対する不信感が拭えず、一緒に施設見学に行く気になれず悶々とした状態だったため、施設見学の実現は一度見送ることに・・・
やっぱり見学だけでもと行動した日
その後、デイサービスの日数が週2回から週3回、そして1年後には週4回と増えていく中でも、私の頭の中から「施設入所」という選択肢は消えませんでした。やっぱり「準備だけでも」と思い、ケアマネさんからもらったパンフレットの施設(住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅)を検討。介護の仕事をしている友人に相談すると、グループホームを勧められました。長谷川先生(認知症専門医)の動画でもグループホームの良さを聞いていたので、「百聞は一見にしかず」と見学を決意。
「よしっ!思い切って行ってみよう!!(心の叫び)」
最初に見たのは友人おすすめのグループホーム。温かい雰囲気の責任者の方が部屋を案内してくれ、好印象でした。アットホームな雰囲気は良かったのですが、施設の古さが気になり、少し躊躇……。
満室だったためとりあえず予約だけ入れ、空きが出たらまた考えることにしました。
次に、ケアマネさんを通じて紹介された住宅型有料老人ホーム3件、サービス付き高齢者向け住宅1件を、2日に分けて見学しました。(この時は仲介業者さんが同行してくれました。)
さらに、自分でホームページで見つけた雰囲気の良さそうなグループホームに連絡し、満室ではありましたが見学だけさせてもらいました。
ここが私にとって「ここがいい!」と思えた施設でした。(現在、母はこちらに入所しています。)
見学でわかったこと
パンフレットだけでは施設の本当の雰囲気は分かりません。立派なパンフレットの施設でも、実際に行くと職員さんの雰囲気が冷たかったり、逆に古い施設でも温かさを感じたり……。
6カ所見学して、ダントツでグループホームの印象が良かったです。見学は本当に大事だと感じました。パンフレットだけでは分からない施設の雰囲気、職員の対応の大切さを痛感しました。
そして何より母に合う施設かどうか?というのは実際に見てみないと分からないと思いました。
見学して「グループホームが一番良かった」という気持ちはさらに強まりました。
【ヒント】施設選びの裏事情も知っておこう
ケアマネさんからは「お母様はまだ体が元気なので、グループホームよりもデイサービスと併用できる有料老人ホームの方が合っているのでは・・・」とパンフレットをもらいました。
私はグループホームの方が良かったし、友人もグループホームを勧めてくれたのに
「ケアマネさんはなぜグループホームを勧めないのだろう?」って思いました。
でも、今だからわかることがあります。グループホームに入ると、担当のケアマネさんがその施設専属のケアマネに替わってしまい、今の担当から母が外れてしまうのです。
そのため、積極的にグループホームを勧めてもらえなかったのかもしれません。
(実際に認知症専門医の長谷川先生も、動画でこうした事情に触れていました。)
施設選びをするときには、こうした裏事情があることも少し頭に入れておくと良いと思います。
次回予告
この続きはこちらの記事でお話ししています。
施設入所の決断と本当に選んでよかった場所──グループホームにたどり着くまで
ぜひご覧ください。
施設選びについて、この動画がとても参考になりました。
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